線画で描いている服のシワは、本当に「シワ」なのか

技術的メモ

服を描くとき、服のシワは立体感を出すためにとても重要な要素です。
でも、服のシワって難しくないですか?

特に線画を描くとき、レファレンスに見える凹凸を一つひとつ線として拾っていくと、線が増えすぎてしっちゃかめっちゃかになりがちです。

たとえばこのようなレファレンスを模写するとき、

このように描いてしまう人も多いのではないでしょうか?

光と影の境目まで線でなぞってしまっています。
意図してこのスタイルにしているなら問題ありませんが、「どこを線で描けばいいかわからない」状態でこうなっていると、すっきりした線画を描きたいときに行き詰まってしまいます。

ではこれではどうでしょうか?

線の数が減り、かなり整理されました。
この線画を描くとき、私が意識したのは布が重なっている場所です。

この記事では、

  • 線画ではどのシワを拾い、どのシワを捨てるのか
  • そもそも「服のシワ」とは何なのか

について考えていきます。

「服のシワ」という言葉がややこしい

まず、「服のシワ」という言葉自体が少しクセモノです。

絵を描かない人にとって「服のシワ」と言えば、
アイロンをかけると消えるような、服についてしまった折り跡を指すことが多いと思います。

一方で、絵を描く人が言う「服のシワ」はそれだけではありません。
服を引っ張ったり、ゆるめたり、体の動きによって生じる一時的な布のたるみや凹凸、陰影まで含めて、まとめて「服のシワ」と呼んでいます。

この言葉の幅の広さが、
「どこまでを線で描けばいいのか分からない」原因のひとつではないでしょうか。

英語では wrinkle ではなく fold

ここで少し言葉の話をします。

英語では、イラストを描くときの服の凹凸を wrinkle ではなく folds と呼びます。
fold は「折れる」「重なる」という意味の言葉です。

つまり、線画で描くべきものは
細かいシワ(wrinkle)ではなく、布が折れて重なった構造(foldなのです。

「シワを全部描こう」とすると線は増えすぎますが、
「布の折れ・重なりを描こう」と考えると、描く線は自然と絞られていきます。

線はアウトラインを描くためのもの

私が服の線画を描くときに意識しているのは、
「これはアウトラインか? それとも影か?」という判断です。

イラストにおいて線は、基本的に形の境界(アウトライン)を表すために使います。
服の線画も同じで、すべての凹凸を線にする必要はありません。

たとえば、布がこのように重なっている場合を考えます。

赤く示した部分は、布が前後に重なっている箇所です。
ここは形の境界なので、線で表さないと構造が分からなくなります。

このことから、布を描くときには「布の重なり合っているところ」を線で表すべきということが言えます。

線画における「シワ」とは何か

ここまでをまとめると、
線画において描くべき「服のシワ」とは、

布が折れ、重なり合ってできた形の境界

です。

最初のレファレンスに戻ってみましょう。

私には、赤でなぞった部分が布の重なり合っている箇所に見えました。
そのため、そこだけを線で表しています。

それ以外の部分は、谷になって影はできていますが、
形の境界ではないと判断し、線としては描いていません。

なお、布が重なって見えるかどうかは、物体を見る角度によって大きく変わります。
正面から見たときは谷として見えていた部分も、視点が変われば布の重なりとして認識されることがあります。

線画では、そのときの視点で「形の境界として見えているかどうか」を基準に、線を取捨選択しています。

まとめ

線画で描く「服のシワ」は、
実際にはシワそのものを描いているわけではありません。

描いているのは、
力によって布が折れ、重なった結果として現れる形の境界です。

日本語の「服のシワ」という言葉から、
つい見えている凹凸をすべて線で拾ってしまいがちですが、
線画ではそれらを同じ重みで扱う必要はありません。

  • 布が重なり、手前と奥が分かれる場所は線になる
  • 谷として沈み、陰影で説明できる場所は線にしない

この取捨選択によって、線の数は減り、
それでも服の立体感は失われません。

服のシワを描こうとするのではなく、
布の重なりを観察し、線として抽出する。

そう考えると、
線画でどこに線を引けばいいのか、
少し判断しやすくなるのではないでしょうか。

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